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アニメ、テレビなどの感想や語り中心。現在更新停滞気味ですすみません。
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 「明日香、また男子生徒の告白、断ったんだって?」
 思わぬ人物からの思わぬ言葉に、私は思わずたじろいだ。
 「なっ…何で貴方が知ってるの!? 十代!」
 「こっち来る時にそこで誰かが話してるの聞いてさ。にしても、何で断るんだ? 今まで相当な人数から告白されてるんだろ? 一人ぐらい好みなヤツいなかったのか?」
 「そ…それは…」
 
 まったく、本当にニブいんだから。
 
 「い、一体、誰のためだと思ってるのよ!」
 つい、勢いに任せて言ってしまった。はたと我に返ったけど、もう遅い。
 でも、その張本人はきょとんとしている。これはもしかして…
 「誰のためって…そりゃあ明日香のためだろ? 自分が好きでもないようなヤツと付き合いたくなんかないじゃんか」
 「……そう、だけど…」
 必要なかった力を抜き、がっくりと肩を落とした。まあ、ある意味ニブくて正解だったかも。
 そんなことを考え、ホッとしたのも束の間。次の瞬間、予想外の言葉が十代から飛び出した。
 「なら、誰のためってことは…そっか! 明日香、好きなヤツがいるんだ!」
 「えっ!!」
 私は驚きのあまり叫び、地面に向いていた視線を自分でも分かるぐらい凄い勢いで十代へ移した。気付くのと気付かないのとのボーダーラインはどこにあるんだろう。嫌でも知りたくなる。
 「な? 図星だろ?」
 「……」
 次に続く言葉が浮かばなくて、黙り込んでしまう。これじゃ、『そうです』って言ってるのと何ら変わりない。
 「ま、安心しろよ。 別に相手が誰かなんて聞いたりしないからさ」
 そう。十代はそういう人。よく知ってる。
 けど……聞かれたら聞かれたで、言おうと思ってた。この気持ちを。
 だから、自己中心的な考え方で申し訳ないけど、私はむしろこう思う。
 
 どうして、聞いてくれないの――…?

 そんな思いが、知らぬ間に私の歩みを止めていた。異変に気付き、十代が私の方を振り向く。
 「? 明日香…?」
 「…気にならないの? 私の好きな人…」
 「えっ…」
 
 恋愛なんて全然興味が無いようなヤツにこんなこと聞いたって、意味が無いって分かってる。
 それでも、もし、気付いてもらえたらって…期待してる私がいる。目の前の、アイツに。
 
 肝心の相手は困ったように頭を掻き、何かを考えた後、私の方へ歩み寄りながら言った。
 「気になるとか、そんなんじゃなくて…それって、明日香の問題だからさ。オレが口出しするのって…ほら、何かおかしいだろ?」
 「私の…問題……」
 「そう。明日香が好きなヤツなら、誰だっていい。明日香の人生なんだから、明日香が決めなきゃ」
 「十代……」
 今の言葉にどれだけ励まされただろう。相手が、この人でさえなかったら。
 あっという間に距離を縮めて、今は私の目の前にいる、この人が。
 
 私の好きな人じゃ、なかったなら。
 
 「…そっ、そうね! 有難う十代。私、何考えてたのかしら」
 私は必死に取り繕った笑顔を十代に向けた。その顔を見て、十代も一安心したようだった。
 「うん、いつもの明日香に戻ったな! じゃ、帰ろうぜ」
 「ええ」
 改めて、寮に帰る道を歩き出そうとした、その時。
 「明日香」
 「え?」
 
 「オレは、そんな明日香が好きだぜ」
 
 そんな言葉が聞こえて、すぐ、風が木々を揺らした。
 一瞬、聞き間違いかと思ったけど、違った。
 
 少し笑ったように見えた十代は、何事もなかったかのように背中を向けて、歩いていく。
 
 好きって?友達として?仲間として?
 それとも――…
 
 私が一番望んでる、関係として?
 
 分からない。さっきまで、私が誰を好きでもいいって、言ったじゃない。
 なのに、急にそんな思わせぶりなこと言うなんて。
 
 ――ズルいよ。
 
おわり  


続きからで語り。  

拍手[1回]


久々の企画アップです。忘れてたわけではないんですよ!(笑)
というのも、今日は2010年10月11日という、一生に一度しか来ないほぼ完璧な十明日の日!てなわけで・・・ネタは固まっていなかったんですが、強引に書いてしまいました。

教訓:やっぱりネタは事前に固めておくべきだった。

今までのと比べると、満足度が極端に低いです。まさに間に合わせの一言に尽きる。空行が多いから人目では分かりづらいかもしれませんが、企画では一番短い話になってしまいました。
十明日は小説こそ書いたことなかったものの、これまでにネタは大量に放出してしまっている分、他のカプより数倍難しかったです・・・うーむ。もしまた良いネタが浮かべばリベンジするかもしれない。
とりあえず、今回はこの二人をどういう関係性にしようかというので一番迷いました。結論としては、ほぼ・・・両思いの段階?あ、オチの答え(?)がバレバレだな・・・まあ元からか(笑)

タイトルも思いつかず、本文もいつものようにひょいひょいと進められることもなく・・・色々な意味で悔いが残る作品になってしまいました^^;後記が暗い雰囲気になってしまってすみません;;
今度からはこういうことが無いように、頑張っていきたいと思います。
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